今月の特集
2018.1「コリネバクテリウム ウルセランス感染症について」
人獣共通感染症である「コリネバクテリウム ウルセランス」による国内初の死亡が確認されました。昨年はマダニから動物を介してのSFTSによる死亡が確認されるなど、人獣共通感染症が注目されるようになりました。
今回、診察の中で幾つか質問を受けたのでこの特集でお答えしたいと思います。
「コリネバクテリウム ウルセランス」を鑑別することは可能か?
鑑別することは細菌を同定する(確定診断)ことで可能かと思います。ですが、この検査は検査機関に委託をして特殊な検査をすることになるので、一般の動物病院の院内で確定診断をすることは難しいと思います。
日常の診察の中でこの細菌を鑑別して治療に当たることはほとんどありません。動物が風邪の症状、体調が悪いなどでの理由でまずは治療からスタートすることが多く、治療を行って改善されれば治療は終了となります。ですので、細菌感染が疑われても治療が上手くいけば細菌の種類を同定することはありません。
「感染を防ぐには?」
この「コリネバクテリウム ウルセランス」を始めとする細菌をどの動物が何処に持っているのかは眼で見て判断することは難しいです。動物を飼っている、世話をしている場合、感染する機会があるかもしれません。自分自身の体調が悪い時、動物の体調が悪い時にもしかしたら感染するリスクが高くなるかもしれません。ですので、触れ合ったら必ず手を洗い、場合によってはうがいをするなどの感染予防対策をする必要があると思います。
多くの場合、人が風邪などを含む感染症を予防するために「手洗いやうがい」を推奨されると思います。それと同じように動物と触れ合ったら同じような方法で感染を予防することが大切だと思います。