今月の特集
2017.1「動物の歯の話し…3回目」
新年を迎えました。今年も宜しくお願い致します。
今年も毎月皆様に少しでも役に立つ情報を提供していきたいと思っています。
今年最初の特集は昨年から継続している「歯」の話をしていきたいと思います。
先月は「乳歯」について話をしました。今月も「乳歯」の話を追加して話をしていきたいと思います。診察の中で「乳歯が抜けなければそのままでも良いのか?」という質問が多いので、その事について話をしていきます。結論から言うと「そのままは良くない」です。診察の際に口の中を確認すると乳歯を見つけることが多くあります。多くの場合は1歳に満たない子が多いのですが、時々2歳以上の子でも見られることがあります。乳歯が永久歯と一緒に生えている状態を「二重歯列」と言い、大人になった状態で乳歯が残っていることを「乳歯遺残」と言います。乳歯が残っている状態で生活をしているとその場所に歯垢、歯石が付きやすくなり、更に歯並びにも影響することがあります。また、乳歯が折れた状態で残っていることも見たことがあります。そのままにしておくと歯肉炎、歯周炎へと悪化し歯根と呼ばれる歯の根元まで感染、炎症が広がることがあります。そのような状態になると乳歯以外に永久歯にも悪影響が及んでしまい、乳歯と永久歯を抜歯しなければならず、歯を失うことになりかねません。そうならないためにも乳歯が抜けない場合、治療が必要になるのです。
多くの場合、乳犬歯と呼ばれる乳歯の犬歯が残存することが多いようです。その他の乳歯は成長と共に歯根が吸収されて自然に抜けることが多いと思いますが、中には残存していることもあるため、その場合も抜歯が必要になります。
近年小型犬を飼っている方が多いため、乳歯遺残、二重歯列が頻繁に見られます。中、大型犬ではこの様なことは滅多にないようですが、これは顎の大きさ、歯の大きさなどに関係があるようです。まれに10kgの大きさの犬で見かけたことがあります。
また猫でも乳歯が残ることはほとんどありません。猫の場合も顎と歯の大きさ、数が関係しているようです。