今月の特集
2015.12「体をつくる栄養について…その5」
蛋白質について…その4
今回は大切な蛋白質が体にとって害となってしまう病気について話をしていきたいと思います。
ですが、全く蛋白質を摂らないわけにはいかないので、その点についても話をしていきたいと思います。
蛋白質の摂取を制限する場合
①腎臓病の子に対して
腎臓は尿を作り老廃物を排泄するとても大切な臓器です。尿は血液から作られます。血液には水分、血球成分、蛋白質、ミネラル、ブドウ糖などからできており、その中に老廃物も含まれています。その血液の中から老廃物だけを選んで排泄する役割が腎臓にはあるのです。通常であれば蛋白質は体内に再吸収されるものですが、その腎臓に障害が出てくると尿の中に蛋白質が排泄されるようになります。そのため、蛋白質を健康な子と同じように摂取させていると尿の中に蛋白質を排泄させてしまう可能性があるのです。腎臓の機能が悪化してくるとその蛋白質が尿毒症という状態を引き起こす原因の1つになり得るのです。ですので、蛋白質を制限するような食餌を与えることが必要になります。
②肝臓の病気がある場合。腹水や高アンモニア血症などがある場合
肝臓の大切な働きの1つに、蛋白質を代謝する働きがあります。食餌の中に含まれる蛋白質は小腸でアミノ酸に分解、吸収され、肝臓で体を構成する蛋白質に組み替えられます。その肝臓の障害が起こると合成される蛋白質が減るため、血液中の蛋白質(アルブミン)も下がり、最悪の場合、血液の成分が腹水として認められることもあります。さらに体内のアンモニアを分解することも出来なくなるため、体内にアンモニアの濃度が上がることが知られています。そのような場合でも蛋白質摂取の制限、蛋白質の種類(アミノ酸の種類)を考えて食餌を与える必要があるのです。
上記のような蛋白質の摂取を制限する場合が実際にあります。特に何かしらの病気になってしまい、蛋白質の摂取を制限されているときは特別な食餌に変える必要があります。その際には一般的なドッグフードやキャットフードなどではなく、療法食やサプリメントなどを与えなければいけない場合もあり、専門的な知識が必要になります。手作り食であると必要な量を上手く摂取できていない場合があります。